情シス2人で社内問い合わせをAIに任せてみた話【情シスAI活用 第1回】
「パスワードが分からない」「VPNがつながらない」「このエラー何?」——。
情シスをやっている人なら、こういう問い合わせが毎日のように来る感覚、分かると思います。しかもだいたい同じ質問のループ。
筆者の会社では、情シスはたった2人。社員からの問い合わせ対応だけで1日が終わることもザラでした。
「これ、AIにやらせられないか?」
そう思って実際に試してみたら、想像以上に回った話を書きます。
情シス2人体制のリアル
まず前提として、筆者の会社は社員数に対して情シスが圧倒的に足りていません。たぶん多くの中小企業で同じ状況だと思います。
日々来る問い合わせの内訳はだいたいこんな感じです。
| 種類 | 割合(体感) | 難易度 |
|---|---|---|
| パスワードリセット・アカウント系 | 30% | 低 |
| VPN・ネットワーク接続 | 20% | 中 |
| PCの不具合・エラー | 20% | 中〜高 |
| SaaS設定・権限変更 | 15% | 中 |
| 「よく分からないけど動かない」 | 15% | ? |
ここで気づくのが、問い合わせの半分以上は定型対応で済むということ。
つまり、FAQ的な回答を自動で返せれば、かなり楽になるはず。
AIヘルプデスクを作ってみた
やったことはシンプルです。
- 社内のよくある質問をナレッジとして整理
- AIチャットボットに読み込ませる
- 社員がチャットで質問→AIが回答を返す
技術的にはClaude(Anthropic)のAPIを使いました。社内のナレッジベース(過去の問い合わせ対応履歴やマニュアル)をベースに、質問に対して回答を生成する仕組みです。
ポイントは「完璧な自動化」を目指さなかったこと。
AIが自信を持って回答できるものはそのまま返す。判断が必要なものや、権限変更のような操作が伴うものは「情シス担当に引き継ぎます」と返すようにしました。
実際に回してみた結果
導入から数週間で、体感として問い合わせ対応の工数が4割くらい減りました。
特に効果が大きかったのがこのあたり。
- パスワード系:リセット手順をAIが案内→自己解決率が大幅アップ
- VPN接続:「どのVPNクライアント使ってますか?」からの分岐質問で、大半のケースをカバー
- 「動かない」系:スクリーンショット送ってもらう→エラーメッセージを見て一次切り分け
逆にAIだけでは厳しかったのは、物理的な対応が必要なケース(PC交換、ケーブル差し替え等)と、社内政治が絡む権限変更(「この人に管理者権限あげていいの?」みたいなやつ)。
ただ、これは最初から想定していたので、人間がやるべき仕事に集中できるようになったという意味では大成功です。
導入時に気をつけたこと
AIヘルプデスクを入れるとき、いくつか意識したポイントがあります。
1. 回答の精度よりも「引き継ぎ」の質を重視
AIが間違った回答をして問題になるより、「分かりません、担当に聞きます」と返す方が100倍マシです。自信度が低い回答は無理に返さない設計にしました。
2. ナレッジは最初から完璧じゃなくていい
最初は過去のメール対応履歴とマニュアルPDFを突っ込んだだけ。運用しながら「この質問に答えられなかった」をログで拾って、ナレッジを追加していく運用にしました。
3. セキュリティは最初に固める
社内情報をAIに読ませる以上、データの取り扱いは最重要です。
- 外部にデータが送られない環境を使う(API利用、学習に使われない契約)
- 個人情報を含む問い合わせは自動でマスキング
- 操作系(アカウント作成・削除など)はAIに権限を持たせない
ここは情シスとして絶対に妥協しちゃダメなところです。
まとめ:情シス×AIは「全自動」じゃなく「半自動」が正解
AIヘルプデスクを入れてみて分かったのは、「人間がやらなくていい仕事」と「人間がやるべき仕事」を分けるのが一番大事だということ。
全部AIに任せようとすると破綻します。でも、定型的な問い合わせの一次対応をAIに任せるだけで、情シスの負担は劇的に減ります。
2人体制でも回せている理由の一つは、間違いなくこのAI活用です。
次回は「SaaS管理のアラート仕分けをAIにやらせてみた話」を書く予定です。情シスAI活用シリーズ、まだまだネタがあるのでお楽しみに!
