クラウドストレージの使い分け(OneDrive/Google Drive/Box)
OneDriveとGoogle Drive、どっちに保存すればいいか迷ったことありませんか?
うちの会社でこの質問が出始めたのは、テレワーク移行を進めたタイミングだった。それまではファイルサーバーに全部放り込んでいたのが、「在宅からもアクセスできるように」ということでクラウドストレージを使い始めた。ところがMicrosoft 365を契約した部署はOneDriveに保存し、Google Workspaceを使っていた別の部署はGoogle Driveに保存し、さらにベンダーとのやり取りにはBoxを使い始めて——「どこに何があるか分からない」状態が生まれた。
結論から言う。3サービスは得意分野がそれぞれ違う。 Office/Microsoft 365中心の環境ならOneDrive、Google Workspace中心ならGoogle Drive、セキュリティ・管理機能を重視するならBoxが向いている。自社の環境に合わせて選ぶことが、「どこに何があるか分からない」を防ぐ最善策だ。
§ 1 3サービスの基本情報
まず3サービスの立ち位置を整理する。
| OneDrive | Google Drive | Box | |
|---|---|---|---|
| 開発元 | Microsoft | Box, Inc. | |
| 強み | Microsoft 365・Office連携 | Google Workspace連携・共同編集 | セキュリティ・法人管理機能 |
| ポジション | Microsoft環境の標準ストレージ | Google環境の標準ストレージ | セキュリティ重視の法人向け |
| 主な利用シーン | Word/Excel/PowerPointファイル管理 | ドキュメント・スプレッドシートの共同作業 | 機密ファイル管理・外部共有 |
3つとも「ファイルをクラウドに保存して共有できる」という基本機能は同じだ。違いは「その上に何がついてくるか」にある。
§ 2 料金・容量比較(2026年6月時点)
料金は定期的に改定されるため、最新情報は必ず各公式サイトでご確認ください。以下は執筆時点の参考値です。
個人向け無料枠
| サービス | 無料容量 |
|---|---|
| OneDrive | 5GB |
| Google Drive | 15GB(Gmail・Google Photos含む共有容量) |
| Box | 10GB(個人向け無料プラン) |
日常的な使い方なら、どのサービスも無料枠でスタートできる。ただし業務利用では容量とセキュリティ要件の問題から、有料の法人プランを選ぶのが基本だ。
法人向けプラン(目安)
| サービス | プラン名 | 月額/ユーザー(目安) | ストレージ |
|---|---|---|---|
| OneDrive | Microsoft 365 Business Basic | 約899円 | 1TB/ユーザー |
| OneDrive | Microsoft 365 Business Standard | 約1,874円 | 1TB/ユーザー(Officeアプリ込み) |
| Google Drive | Google Workspace Business Starter | 約816円 | 30GB/ユーザー |
| Google Drive | Google Workspace Business Standard | 約1,632円 | 2TB/ユーザー |
| Box | Business | 約1,881円(年契約・3名〜) | 無制限 |
※料金は円換算・税別の参考値。為替・プラン変更により変動します。
ポイント:
- OneDriveはMicrosoft 365の法人プランに含まれているため、Office製品も一緒に使っているなら実質追加コストゼロで使える
- Google DriveはStarter(30GB)とStandard(2TB)で容量差が大きい。Starterは容量が少なく、動画・大容量ファイルをよく扱う部署には不足することがある
- Boxは「無制限」が強みだが、単体契約の場合は3ユーザー以上から・年契約が条件になることが多い
§ 3 機能比較
Office連携——OneDriveの圧倒的優位
Word・Excel・PowerPointファイルをクラウドで共同編集するなら、OneDriveが最も自然に使える。ブラウザ版のOfficeアプリが自動的に連携し、ファイルを開くだけで共同編集が始まる。
Google DriveでもOfficeファイルを開くことはできるが、Google ドキュメント形式に変換が必要になるケースがあり、書式崩れや互換性の問題が生じることがある。特に複雑な書式のExcelシートや、マクロを使ったファイルは変換後の動作保証が難しい。
うちの会社では「Officeファイルはすべて絶対にOneDriveに入れる」とルール化した。変換トラブルが一度あって以来、ここは徹底している。
共同編集——Google Driveのリアルタイム編集
Google ドキュメント・スプレッドシート・スライドを使うなら、Google Driveのリアルタイム共同編集は強力だ。同時接続者数の上限が実質なく、誰がどこを編集しているかがリアルタイムで分かる。コメント・提案機能も洗練されている。
「ブレインストーミングや議事録の作成で複数人が同時に書き込む」という用途ではGoogle Driveが一歩上だ。
OneDriveもOffice Onlineで共同編集できるが、大人数同時編集時の安定性はGoogle Driveに一日の長がある印象だ。
セキュリティ・管理機能——Boxの法人向け強み
外部とのファイル共有に厳格な管理が必要な場面では、Boxが頭一つ抜けている。
Boxが提供する法人向け機能:
- アクセス権限の細かい設定: ビューアー/編集者/アップローダー等を細かく制御
- リンク有効期限設定: 共有リンクに期限を設定して自動で無効化できる
- ウォーターマーク: 表示されるPDFにユーザー情報を透かしで入れられる
- 監査ログ: 誰がいつどのファイルにアクセスしたかを記録・エクスポートできる
- HIPAA・ISO 27001等の認証対応: 医療・金融・官公庁向けのコンプライアンス対応
製造業・医療・金融など「情報漏洩があったら致命的」な業種でBoxを選ぶ会社が多いのはこのためだ。
OneDriveもGoogle Driveも管理機能は整備されているが、「細かい権限設定」「外部共有の厳格な制御」「監査対応」のトータルバランスではBoxに分がある。
§ 4 こんな会社にはこれ——選び方の考え方
Microsoft 365中心の環境 → OneDrive
- Outlook・Teams・Office製品を日常的に使っている
- Wordファイルや Excelファイルが中心
- 追加コストを抑えたい(M365プランに含まれる)
Microsoft 365のライセンスを持っているなら、OneDriveは追加費用なしで使える。余計なツールを増やさず「MicrosoftのエコシステムをMicrosoftのストレージで統一する」のが最もシンプルだ。
Google Workspace中心の環境 → Google Drive
- Gmail・Google Meet・Google カレンダーをメインに使っている
- Google ドキュメント・スプレッドシートで共同作業することが多い
- リアルタイムの複数人同時編集をよく使う
Google Workspaceの契約があれば、Google Driveも含まれている。OneDriveと同様に「Googleエコシステムで統一する」のが自然な選択だ。
セキュリティ・管理要件が厳しい → Box
- 外部ベンダーや取引先とのファイル共有が多い
- 「誰がどのファイルにアクセスしたか」を記録・報告できる必要がある
- 医療・金融・官公庁など業界の規制要件がある
OneDriveやGoogle Driveのセキュリティが「標準的に高いレベル」なのに対して、Boxは「さらに厳格な管理が必要な場面」向けに特化している。
複数環境を使い分ける場合
実際の会社では「社内はMicrosoft、取引先とのやり取りはBox」という組み合わせはよく見られる。
うちの会社がこのパターンだ。社内ファイルはすべてOneDrive、外部ベンダーとのやり取りが必要なプロジェクトだけBoxのフォルダを使う形に落ち着いた。最初は「2つ管理するのは面倒」と思っていたが、「社内ならOneDrive、社外ならBox」というルールがシンプルで、現場の混乱がかなり減った。
まとめ&次回予告
3サービスの使い分けをまとめる。
| 状況 | おすすめ |
|---|---|
| Microsoft 365を使っている | OneDrive(追加費用なし) |
| Google Workspaceを使っている | Google Drive(追加費用なし) |
| 外部共有・監査・コンプライアンス要件あり | Box |
| 社内はOneDrive、外部共有はBox | 併用(シンプルなルールが鍵) |
クラウドストレージの選び方は「どれが一番優れているか」ではなく、「自社のITエコシステムに合っているか」で決まる。今使っているグループウェアが出発点だ。
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よくある質問
Q. 3つ全部使い分けるのはありですか?
A. 機能要件が明確なら「あり」です。ただしルールなしに3サービスが混在すると「どこに何があるか分からない」という混乱が起きます。「社内はOneDrive、外部共有はBox」のような単純なルールを作って、社内に周知することが前提です。ツールが増えるほど運用コストも上がるため、最小限の組み合わせを推奨します。
Q. セキュリティ面で一番安全なのはどれですか?
A. 用途次第で評価が変わります。一般的な業務ファイル管理であれば3サービスとも高水準のセキュリティを持っています。「外部との共有を細かくコントロールしたい」「監査ログが必要」「業界規制対応が必要」という要件があるならBoxが有利です。
Q. 個人利用と法人利用で選び方は変わりますか?
A. 変わります。個人利用なら無料枠のある3サービスどれでも始められます。法人利用では、すでに契約しているMicrosoft 365またはGoogle Workspaceに含まれるストレージをまず使うのがコスト効率の面で最善です。セキュリティ要件・社員数・外部共有頻度に応じてBoxを追加するかを検討してください。
Q. 既存サービスから別のサービスへの移行(引っ越し)は簡単ですか?
A. ファイルのコピー自体は「ダウンロード→アップロード」で可能ですが、共有リンク・アクセス権限設定・他ツールとの連携(Teams・Slackとのリンク等)は移行先で設定し直す必要があります。特に大量のフォルダを移行する場合は専用のマイグレーションツール(MicrosoftのSharePoint Migration Toolなど)を使うと効率的です。移行作業は事前の計画が重要です。
