ChatGPTに仕事を頼むのは、もうすっかり普通になりました。「これ要約して」「この文章直して」——そういう使い方は誰でもやってる。
じゃあAIを“チーム”にしたら、どうなるんだろう?
1体のAIに全部任せるのではなく、「企画担当」「制作担当」「品質チェック担当」と役割を分けて、複数のAIエージェントが連携しながら動く仕組みを作ってみました。その実験記録を、この連載で書いていきます。
ツールはClaude Code。Anthropicが出しているCLIベースのAIで、ファイル操作からコマンド実行まで、PCの上でかなり自由に動かせる代物です。
- AIを「チーム」にする発想とメリット
- Claude Codeの基本的な仕組み
- CLAUDE.mdによる役割設計の方法
- 最初にぶつかった壁と対処法
AIを1体で使うのと何が違うの?
- AIも人間と同じで、役割を分けた方がうまくいく
1体のAIに「企画も、文章作成も、チェックも全部やって」とお願いしていた時期がありました。最初はそれで十分でした。でも、タスクが複雑になってくると、だんだんガタが来ます。
一番の問題はコンテキストの肥大化。
AIとの会話が長くなるほど、前半の指示が薄れてきたり、「あれ、さっきと言ってること違くない?」という事態が増えます。人間で言えば、「打ち合わせが3時間を超えたあたりから全員疲れてきてる」みたいな状態。
もう一つは得意不得意の混在。「論理的に整理する」のが得意なフェーズと、「読みやすい文章にする」のが得意なフェーズって、実は別の認知作業です。1体に両方やらせると、どちらも中途半端になりがち。
1人の万能社員に全部任せるより、得意なことが違う人たちが分担した方が全体のアウトプットは上がるよね。AIも同じだった!
そもそもClaude Codeって何ができるの?
- Claude Codeは、AIにPC上のファイル操作やコマンド実行を任せられるツール
ChatGPTとの一番の違いは「ブラウザじゃなくてターミナルで動く」という点。少し地味に聞こえますが、これが大きい。
ChatGPTはブラウザ上で会話するスタイルなので、基本的に「テキストのやりとり」が主体です。一方Claude Codeは、パソコンのフォルダにあるファイルを直接読んで書き換えたり、シェルコマンドを実行したり、外部ツールと連携したりできます。
- ChatGPT:優秀なコンサルタント。話を聞いてアドバイスをくれる
- Claude Code:手を動かせるエンジニア。ファイルを開いて、実際に作業してくれる
「プログラマー向けじゃないの?」と思われそうですが、CLIの基本操作(ターミナルを開いてコマンドを打つ、くらい)ができれば、エンジニアでなくても使い始めることはできます。実際、私もコードはほとんど書きません。「何をやってほしいか」を日本語で指示することがほとんどで、細かい実装はAI側に任せています。
ターミナルに claude と打つと起動して、そのまま会話形式で指示できます。見た目はシンプルなテキスト画面ですが、裏でファイルをガンガン作ったり編集したりしています。
どうやってAIに”役割”を持たせるの?
- CLAUDE.mdというファイルに、そのAIの役割・ルール・行動範囲を書くだけ
ここがClaude Code特有の仕組みで、「CLAUDE.md」というMarkdownファイルをフォルダに置いておくと、Claude Codeはセッション開始時に自動で読み込みます。これがいわば「辞令書」です。
たとえばこんなふうに書きます。
# 企画担当AI
## 役割
- アイデア出しと構成設計が専門
- 実際のファイル作成はしない
- 制作担当AIへの依頼書を作成する
## 行動ルール
- 常に複数案を出す
- 決定権は人間側にある
- 予算・コスト話題が出たら財務担当AIに転送
このファイルを置いたフォルダでClaude Codeを起動すると、そのAIは「企画担当」として振る舞います。別のフォルダには別のCLAUDE.mdを置いて「制作担当」として動かす——これを複数用意することで、役割の違うAIチームができあがります。
役割設計は大きく3つの機能に分けると整理しやすいです。
| 機能 | 担当AI(例) | やること |
|---|---|---|
| 企画・判断 | 企画担当 | 方向性決定、タスク分解 |
| 実行・制作 | 制作担当 | コンテンツ作成、ファイル編集 |
| チェック・修正 | 品質担当 | レビュー、校正、整合性確認 |
この3機能が分かれていると、「誰が何をすべきか」が明確になります。品質担当AIは「作る」ことに口を出さず、チェックだけに集中する——そういう分業が、CLAUDE.mdという仕組みで実現できます。
もう一つのポイントがフォルダによる権限設計。「このAIはこのフォルダしか触れない」というルールをCLAUDE.mdに書いておくことで、役割外の作業を防げます。制作担当AIが財務フォルダを書き換えてしまう——みたいな事故を構造的に防ぐ仕組みです。
最初にぶつかった壁は?
正直に言うと、最初はちっともチームっぽく動きませんでした。
CLAUDE.mdに「あなたは企画担当です」と書くだけでは、全員が似たような回答をするんです。「はい、企画をお手伝いします」——でも何を聞いても同じようなテキストが返ってくる。「肩書きをつけただけで、中身は変わってない」という状態です。
試行錯誤して気づいたのは、「役割」じゃなくて「行動規範」を書かないと機能しないということ。
「何をしてはいけないか」が重要でした。たとえば——
- 企画担当AI:「自分でファイルを作成してはいけない。必ず制作担当AIへの依頼書を書け」
- 制作担当AI:「内容の方向性に意見してはいけない。構成は企画担当が決めたものに従え」
- 品質担当AI:「修正箇所を指摘するだけでなく、必ず理由を書け」
「〜をやれ」より「〜をやるな」の方が個性が出る。これは人間のマニュアル設計とも似ています。「笑顔で接客しろ」という指示より「口頭での値引き交渉は断れ」という制約の方が行動を縛りやすい、あの感覚。
AIに肩書きを付けるだけじゃダメ。「やるな」という制約が個性を作るんだね!
もう一つぶつかったのがAIどうしのコミュニケーション経路の問題。「企画担当AIの出力を、どうやって制作担当AIに渡すか」——これがないと、結局人間がファイルを持ち歩く係になってしまいます。この話は次回に続きます。
まとめ&次回予告
- 複数AIの活用は、技術の問題より組織設計の問題
- Claude CodeとCLAUDE.mdで、AIに役割・ルール・権限を定義できる
- 役割設計の鍵は「何をやるか」より「何をやってはいけないか」
「AIに仕事させる」から「AIのチームを作る」へ。この発想の転換が、この連載の中心テーマです。
次回は「AI同士をどうやって会話させるか」——コミュニケーション基盤の設計について書きます。企画担当AIの指示を制作担当AIにどう届けるか。人間が介在しなくても情報が流れる仕組みの話です。
よくある質問
Q: Claude Codeは無料で使えますか?
A: Claude Pro・Teamなどの有料プランで利用できます。料金体系はAnthropicの公式サイトに最新情報があります。無料トライアルが提供されている場合もあるので、最新情報は公式で確認してみてください。
Q: プログラミング経験がなくても使えますか?
A: CLIの基本操作(ターミナルを開いてコマンドを打つ)ができれば始められます。コードを自分で書く必要はほぼなく、日本語での指示がメインになります。
Q: AIを何体まで同時に動かせますか?
A: 使用するPCのスペックとAPIのプラン次第です。筆者の実験では10体以上のエージェントを同時に動かしています。

